これは俺とGoogleの闘いの記録。
Google依存性の回復の記録。
そして、データ主権を取り戻す一人の男の話。
すべてがGoogleだった出発点
物心がついたときには、すでにGoogleと暮らしていました。
中学生・高校生の頃は、Gmail、Googleドライブ、Googleフォトといったサービスが当たり前にあり、それらは生活のライフラインでした。
しかしある時、自分の生活が特定の一企業の判断に強く依存しているという事実に気が付きました。
そして、この依存から脱却したいと思うようになりました。
この記事は、そんな奮闘記です。
最初に切り離したのは、メールだった
Gmailという当たり前
メインのメールアドレスとして、当時はGmailを使っていました。
そのため、このメールがあらゆるサービスの登録や認証に使われる
「入口」となっていました。
GoogleはGmailの情報を利用すると明言しており、またビジネスモデルの観点からも、無料で使うということは何かしらの「コスト」を支払う必要があります。
「情報」というコストを支払わないようにするために、私は脱Gmailを試みました。
FastMailへの移行
Gmailからの引っ越し先を比較するなかで、有力な選択肢を見つけます。
FastMailというオーストラリアのメールサービスです。
そこで私はアカウントを作成し、早速使い始めました。
移行の壁
このGmailをやめる作業が、どれほど苦痛を伴う作業なのかは、
利用している方には想像できることでしょう。
すべてのアカウントのIDやメールアドレスを変えるのですから。
FastMailへせこせことアカウント情報を変更しました。
当面はGmailと並行運用し、移行が完了したらGmailを切る計画でした。
依存先を置き換えただけではないか
FastMailへの移行も落ち着いてきた頃に、別の違和感が生まれます。
それは、今度はFastMailという一つの会社に依存しているだけではないか、という疑問です。
独自ドメインという次の一手
そこで次に取った選択が、
独自ドメイン(oxox.comみたいなやつ)を取得し、
そのドメインでメールを運用するという方法でした。
こうすることで、メールが特定の会社にロックされることを
ほぼゼロにすることに成功したのです。
(地獄のアカウント変更作業がまた必要になったが……)
メールの位置づけが変わった
結果として、
メールは「特定のサービスに縛られるもの」から、
「交換可能な道具」へと位置づけが変わりました。
アカウント登録時にメールアドレスを登録し、
その宛先となるサーバーを自分で管理できるのは、
気分が晴れ晴れします。
カレンダー・連絡先の移行について
メールと一体だった予定と連絡先
Gmailを使っていた頃は、GoogleカレンダーとGoogleコンタクトで情報の管理をしていました。
FastMailでまとめて管理する
GmailをやめてFastMailに移行した際、
FastMailの機能でカレンダーと連絡先も管理できることがわかったので、
一緒に管理するようになりました。
サービスをやめた瞬間に、居場所がなくなる
しかし、独自ドメイン運用のためにFastMailをやめて
別のメールサービスへ移行しようとしたときに、
問題がはっきりします。
それは、カレンダーと連絡先を
同時に管理できるサービスが
市場にほぼ存在しないということです。
プロトコルで持つことにする
FastMailが提供していた
CalDAVとCardDAVという標準プロトコルのサーバーと
同様の機能さえあればいい、というのが理想でした。
最終形:自分で管理する予定と連絡先
「サービスが無いなら、作ればいいじゃない」という発想のもと、
仮想サーバー(VPS)にDAVサーバーを構築して
管理する方法に至ります。
これで、連絡先とカレンダーを
Googleから取り戻せるのであった。
認証(パスワード)の管理について
デスクトップ:「大事な情報.txt」
パスワードが覚えられなかったので、
「メモしておこう!」という発想になりました。
Windows 7を使っていた当時のデスクトップに
テキストファイルを作成して、ID/Passをメモしていました。
KeePassとの出会い
その後、KeePassという
安全なパスワード管理ソフトの存在を知ります。
パスワードを一つのデータとしてまとめて、
マスターパスワード一つで管理するという方法です。
ランダムパスワードへの移行
KeePassなどのパスワードマネージャーを使うメリットとして
絶大なのが、パスワードを記憶しなくていいという点です。
そのため、私はパスワードとして
ランダムな文字列を設定できるようになりました。
同期という現実的な問題
ただし、KeePassのデータベースは
基本的に手元で管理されています。
複数のWindows 7のパソコンとiPhoneで使うために、
クラウドを使ってデータベースを同期するようになりました。
しかしながら、この同期方法には
モバイル端末から非常に使いにくいという
致命的な弱点がありました。
Bitwardenという選択
その後、
クラウド型のパスワードマネージャーである
Bitwardenに移行しました。
オープンソースであること、
クラウドで同期できることは、
まさに私が探していた
理想のイケメンな王子様?だったのです。
最終形:認証の主導権を取り戻す
現在は、
Bitwardenを使い、
ユーザーIDには独自ドメインの
キャッチオールメールアドレスを使っています。
すなわち、
アカウントの乗っ取りを
ほぼ不可能にする最終形の対策です。
思考(メモ)の管理について
やっぱり、最初はGoogle Keepだった
Googleと生活していた私にとってのメモアプリは、Google Keepでした。
脱Googleのために、この領域にもテコ入れをする時が来たのです。
Evernoteへの移行
有名なメモアプリであるEvernoteなら安全かな、という
安直な理由で移行します。
機能が多くて使いこなせませんでしたが、
当時は年間2000円ととても安価だったので、
そのまま使い続けていました。
値上げという違和感
しかし、Evernoteを使い続けているうちに、
有料プランの料金が上がっていきました。
今後も値上がりするかもしれないというリスクと、
データをEvernoteに支配されている感覚から、
移行を検討するようになりました。
Notionという選択
次にNotionというメモアプリを見つけました。
好奇心をくすぐられる、面白いツールでした。
機能も便利で、使いやすかったです。
しかし自由ではない
しかし、Notionは自由ではないのです。
データを檻の中に閉じ込めているような気がしました。
データの形式はNotionに依存しており、
Notionなくして成立しません。
これではEvernoteと本質的には
あまり変わらないのではないか、
そう思うようになったのです。
Joplinという自由の権化
最終的に選んだのがJoplinでした。
オープンソースで、
データはMarkdownという標準的な形式で保存されます。
データの保存先も自分で選べます。
私は、
カレンダーと連絡先を保存しているのと同じサーバーを
保存先として使うことにしました。
ストレージ(データ)の管理について
やっぱり、Googleドライブ
Googleドライブは無料で比較的大きな容量のデータが保存できるとして、
当時は重宝していました。
しかし、脱Googleのために代案を考えるに至ります。
クラウド全般への違和感
Googleドライブの代替として、
Dropbox、OneDrive、iCloudといった
一般的なクラウドストレージを検討しました。
しかし、これらのサービスには共通する問題があります。
それは、サーバー側が暗号鍵を持っている以上、
技術的にはデータを見られる可能性がある、という点です。
他人に生殺与奪を握られているのは、
いい気分ではありません。
クライアントサイド暗号化への関心
「じゃあ、俺が暗号化しようか」という発想で、
サーバーを信頼せずに、
自分の信頼できる環境で暗号化することにしました。
これならサーバーを信頼しなくていい、という考え方です。
後に知ることになりますが、
これはゼロトラストという考え方のようです。
Cryptomatorというツールを試す
これを実現するツールが、すでにありました。
それがCryptomatorです。
しかし運用してから、
暗号化した保管庫が後から開けなくなる、
という致命的な問題に直面します。
この事件によって、
Cryptomatorにはお別れを告げることになりました。
暗号化しないという選択肢
次に考えたのが、
データそのものを手元で管理できれば、
そもそも暗号化しなくていいのでは?という発想です。
そこで導入したのが、我らがNextcloudでした。
データを自分で管理できる。これは最強です。
しかし、ハードウェアも管理しなくてはなりません。
ハードウェアを運用することは、
私の人生ではないので、
自分の時間を無駄にしている感覚を覚えました。
rcloneとの出会い
結果として、
私はNextcloudをやめる判断をしました。
このNextcloudを運用していた頃に見つけたのが、
rcloneというツールでした。
このツールが、
クライアントサイド暗号化を提供していることを知り、
考え方が一気に変わります。
暗号化して預ける
現在は、
rcloneで暗号化したデータを
クラウドストレージに保存し、
rclone mountを使って
ローカルディスクのように扱う、という必殺技を覚えました。
鍵は自分が持ち、
運用はクラウドに任せる。
これにより、
データの主権を取り戻し、
Googleドライブからの依存を脱却することができたのでした。
写真の管理について
Googleフォトという完成形
写真の管理については、
長い間Googleフォトを使っていました。
しかしながら、写真をGoogleから見られる状態は、
あまり気分の良いものではありませんでした。
また、Googleアカウントが何かしらの理由で停止されたときに、
全データを失う可能性があることも気になっていました。
Nextcloudフォトへの移行
Googleドライブからの移行のタイミングで、
Googleフォトにもお別れしようと思っていました。
Nextcloudには専用のフォトアプリが用意されていたため、
それを活用しようと考えました。
写真を自分で持つという重さ
しかし、写真というデータは
想像以上に重たい存在でした。
写真は重要で、
「失いたくないデータ」です。
データを自分で管理し、
ハードウェアを守り続ける責任が
重くのしかかりました。
私は、
楽しい写真や動画を保存したいだけなのです。
HDDが回転し続けることを
管理したいわけではありません。
ente.ioという最終解
行き着いたのが、ente.ioです。
エンドツーエンド暗号化に対応しており、
オープンソースで、
写真の検索もローカルAIで行われます。
まさにこれは、
私が探し求めていた白馬?でした。
思い出の主権を取り戻す
鍵は自分が持ち、
運用はサービスに任せる。
ストレージ編でたどり着いた考え方を、
写真という感情的なデータにも
適用できたことは、
大きな安心につながりました。
これで、
Googleフォトと縁を切ることができたのでした。
スマートフォンとGoogleの距離感について
iPhoneからAndroidへ
高校生のときに、
初めて手にしたスマートフォンはiPhoneでした。
端末の価格や自由度の問題から、
その後Androidへ移行します。
しかしながら、Androidを使うということは、
Googleアカウントを前提とした生活を
受け入れることに等しいです。
当時は、そこまで考えていませんでした。
脱Google計画に巻き込まれる
脱Googleを計画する中で、
このAndroidスマートフォンとGoogleの依存関係を
冷静に考えることになりました。
・・・ズブズブやないか・・・
これはAndroidを捨てて
iPhoneに戻るのが現実的ではないかと思い、
一度iPhoneに戻しました。
しかし、
今度はAppleに依存しただけだったので、
改めて代案を考えることになります。
カスタムROMという選択肢
私は俗に言うオタクなので、
Androidの改造などは
過去にやったことがありました。
それを応用すれば、
実用レベルで
Androidの自由度+Googleレスを
実現できるのではないかと思ったのです。
しかし、
実用性に劣る問題や管理の手間を考えると、
人生の時間を無駄にすることになると感じました。
スマートフォンという道具に
かけていい労力ではないのです。
スマートフォンは道具であるという前提
スマートフォンは、
生活の主役ではありません。
あくまで道具です。
そう割り切って、
素のAndroidを使うことにしました。
道具としての役目は果たしているのだから、
文句はないだろうと自分に言い聞かせました。
しかし、
変態レベルのオタクの好奇心は
止まりませんでした。
技術的好奇心は止まらない
思い切って、
カスタムROMを入れてみます。
最初に試したのが、
murenaの /e/OS というものでした。
/e/OSという理想と現実
/e/OSは、
Googleを排除し、
互換レイヤーで代替するという
変態っぷりです(褒め言葉)。
しかし、
日常利用においては、
互換レイヤーの宿命である不具合が目立ち、
次第にそれがストレスとなってきました。
GrapheneOSという最終形
最終的にたどり着いたのが、
GrapheneOSです。
使い勝手を損なわず、
セキュリティと分離を重視する設計は、
私の生活や思想に
非常によく合っていました。
まさにこれは、
私が探し求めていたお城でした。
敗北宣言:相棒、俺の負けだよ・・・
Googleを使わない選択を、
さまざまな方面から検討してきましたが、
どうしても代替できなかったものがあります。
ここでは、
私の敗北宣言を書いておきます。
YouTube
まず一つ目がYouTubeです。
代替動画サービスとして、
PeerTubeやVimeoといったものも検討しました。
しかし現実として、
YouTubeに勝てるサービスは存在しませんでした。
なので、
これは「使い続ける」という付き合い方をしています。
ーー 俺の負けだよ、YouTube。
お前のことは気に入らないが、
そんなところも嫌いじゃないぜ。
Googleマップ
もう一つがGoogleマップです。
YahooマップやOpenStreetMapといった
代替も検討しましたが、
Googleマップの代わりにはなりませんでした。
ーー Googleマップ、俺の負けだよ。
お前ほどの物知りはいないな。
頼りにしてるぜ。
終章:それでも、主権は俺の手にある
ここまで読んでくれた人は、
もう分かっていると思いますが、
私はGoogleを完全には捨てていません。
無自覚な依存と、
自覚した利用は、
まるで別物です。
これは、
完璧な勝利の物語ではなく、
Googleから主導権を
少しずつ引き戻していった記録です。
これは、
Googleと闘った(笑)、
一人の男の話です。
相棒、明日もよろしくな。

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